JUNIOR COLLEGE

保育科2年「造形とあそび」竹永先生

2023.11.20授業のぞき見

科目の概要
この授業では、人間にとって「あそびとは何か?」をテーマに、立体・平面・身近な素材を使ったあそび・創作活動に取り組んでいます。
身近な素材を使った造形体験(立体、平面、色)作品からあそびへの展開を通し、保育現場で実践できる造形あそび、集団あそびを通して他者と関わりコミュニケーション表現する力を養い、保育現場で展開できる能力を身に付けることを目的としています。

「造形とあそび」授業で大切にしていること
時間がたつのを忘れて物を作り、夢中になって表現する。
主体的あそびは子どもたちの健全な発達と成長につながり、ひとり一人の個性は、活き活きと作品に表れます。
子どもたちとともにあそび、「表現は楽しい!」を共感できる保育者の育成を目的として、学生が好奇心を持って創作を楽しめる環境作りを大切にしながら毎回の授業を行っています。
この授業で取り組んだ課題3つをピックアップし、授業の様子と学生たちの作品をご紹介します。

課題紹介①
「小麦粘土あそび」
~身近な素材を使った触覚あそび~
課題紹介②
「新聞衣装」でなりきり体験
~身近な素材の活用~
課題紹介③
「スクラッチ(ひっかき絵)」
~クレパスの活用~
★本学の美術・造形教科 関連情報(竹永担当教科HP掲載)
・【保育科2年「造形表現(指導法)」(人形劇制作発表会)】https://www.kjc.kindai.ac.jp/news/2476/
・【保育科 竹永ゼミナール活動報告】https://www.kjc.kindai.ac.jp/news/3331/
課題紹介①:「小麦粘土あそび」~身近な素材を使った触覚あそび~
 
小麦粘土あそびは、五感をあそびとして、粘土を作る工程から子どもたちと取り組める触覚あそびです。
手で粉と水を混ぜる、こねるといった工程を楽しみ、できた粘土を使って作品を作ることもできます。
また、子どもたちの好奇心を引き出す仕掛けとして、色を付けることもできます。
授業では学生が作り方を調べ、その方法で粘土を作り、その粘土で作品作りを経験します。
自分の経験を通して子どもたちとの活用方法について考えます。
1.小麦粉に水を加え、混ぜながら触った感覚で柔らかさや仕上げを調整します。 2.どんな色にしようかな。色付けは食紅を使います。黄色と緑の食紅を混ぜて黄緑にしているところです。 3.粘土の感覚が気持ちよく、夢中になります。色も付きました。何を作ろうか思案中です。 4.白と赤で作品作り。丸めたり混ぜたり、手から生まれる形は色々です。「これはアイスです。」
課題紹介②:身近な素材の活用「新聞衣装」でなりきり体験
新聞・チラシを使って、衣装を作り、作った衣装を身に着けて写真撮影を行います。
テーマは自由。民族衣装や武将、ウェディングドレスなど、毎年色々なテーマが出てきて、お互いの表現を楽しみながら大変盛り上がる課題です。作り方のマニュアルはありません。素材の新聞を触ったり、破れたりを体験しながら自分が作りたい服を創作します。創作する工程から、素材の特長や活かし方を学びます。
完成後、衣装を身に着け、なりきりあそびから写真撮影に挑みます。撮影する際、衣装が映えるポーズについて互いに意見を出し合い、教員と学生同士、サポートしながら撮影しています。
制作工程
新聞でスカートを制作中。
新聞の大きさと張りを活かしたデザインのスカートです。
完成作品1
完成した作品を身に着けて。
新聞衣装は着ると、とても暖かいそうです。
完成作品2
衣装もポーズも自分流。
髪飾りは色が豊富なチラシを素材にしています。
課題紹介③:クレパスの活用「スクラッチ」(ひっかき絵)
クレパスで色塗りあそびを行い、上から黒で塗りつぶした画面を引っ掻いて(スクラッチ)絵柄を作ります。
最初の工程では色の構成と表現を楽しみ、できた色構成を素材として表現に活用する、ひとつひとつの工程にあそびがあり、作者の個性が素直に表れます。スクラッチで描くテーマは好きな「動物」です。
工程1
白い画面にクレパスで色塗り。
どんなデザインにするか、どこに何色を塗るかは自分次第です。
工程2
色塗り完成。使う色数は同じですが、出来上がりのデザインは色々です。
これがスクラッチのベースになります。
工程3
色塗り後、黒いクレパスで塗りつぶします。黒は全ての色を隠してしまいます。画面を黒で塗りつぶした後、先がとがったものでひっかいて絵を描きます。
工程4
「ライオン」のベースになった色構成です。このデザインの色塗り作品でスクラッチをすると、右のような作品になりました。色塗のデザインが活かされるので、色の塗り方でスクラッチの仕上がりも変わります。
完成作品1:「ライオン」
工程4の色構成がこの作品になりました。「ライオンを画面いっぱいに表現したい」との意図から生まれました。この課題は、色塗りをしたデザインが一旦黒で見えなくなり、スクラッチで再び色塗りのデザインが活かされるところにも面白さがあります。
完成作品2:「ハムスター」
工程1の写真の色構成がベースになっています。引っ掻く線にも個性が生まれます。